※「タイツくん大人のブログ」より抜粋しています。最新コラムを読みたい方はこちら。→おべとも☆

おべとも学園の
キャラクター紹介☆その4

おべとも学園の
キャラクター紹介☆その3

おべとも学園の
キャラクター紹介☆その2

おべとも学園の
キャラクター紹介☆その1

「かぜひき先生」

「さよならくまちゃん」

「ちゃんと返して」

おべとも学園ができた日

「隣は転校生」

「ニガテな写真」

「こわい先生」

「サインしたい」


「こわい先生」

去年からのおべとも学園に加わった「強井先生」と書いて「こわいせんせい」と言うキャラクターがいます。

おべともちゃんのクラスに新任できた先生で見かけも恐いしとっても厳しい。そんな先生に授業中に落書きしてたのを見られたゲンキくんは職員室に呼ばれそこで先生に…というお話。

この話を考えていた時に真っ先に私の頭の中にでてきた先生がいる。それは私にとって最も印象的でコワイ先生だった通称、チズコ。彼女は私の高校の英語の先生だった。

チズコはなぜか私たち生徒をあからさまに嫌っていた…というかいじめるのが好きだったのか、とにかく、問題を当てて答えられない生徒に対して『何でこんなのも分からないの?』とか『バっカじゃないの?』とか平気で言う人だったのだ。

中でもいちばん酷かったのは、答えられたなかった野球部員の男子に『アンタ、そんなんだから野球もレギュラーになれないんだね』と笑いながら罵った時だった。言われた男子は当然キレて、壁や机を蹴り飛ばしていた。でも、そんなのにも動じず淡々と授業を進めるチズコ。
もちろん、私たちもこんなチズコが大嫌いだった。
2学期にもなると授業をボイコットする生徒も出始めていた。ちなみに私はというとそんな勇気もない訳で、嫌々ながら授業に出席する生徒の1人だった。

チズコはいつも冷静、つねに冷淡。必要以上も以下も話さず、生徒に好かれようと調子のいいことも言わない。
人間味を出さずに、機械のように授業しつつも生徒をなじっては楽しんでいた。

そんなある日のことだった。

チズコがいつもと同じように教室に入ってきた。愛想も愛嬌もないいつものチズコの表情。でも次の瞬間、いつもと違うことが起こったのだ。

『はい、号令〜』

そう言ったチズコのクチから、何か白いモノがピュッと飛び出して床に落ちた。その場の全員が目撃した、でもみんな黙ったままだった。変な空気が流れた。そう、私たちはあのチズコが口から何か出したというこの状況に、どう反応していいのか誰1人分からなかったのだ。ただ押し黙っていた。
シンと静まり返る教室。1番はじめにクチを開いたのは意外にもチズコだった。

『あっ。ミルキー出ちゃった』
少し照れながらそれを拾った。

その反応にさらに面食らう私たち。
あのチズコが照れた…。あのチズコが「ミルキー」という単語を喋った。
誰かが『……先生、おかし食べてんの?』と口を開けた。するとチズコが『いいじゃん、別に』と、笑った。
次の瞬間、教室の中に少し笑いがこぼれた。はじめは恐るおそる。でも、すぐにその笑いは爆笑になった。チズコの英語の授業で、はじめてみんなが笑った瞬間だった。

今でも不思議なのだが、たったそれだけのことだったけれど、その瞬間、私たちとチズコとの間の壁がなくなった。
チズコは人を悪く言うとんでもない先生だったけれど、でもそれは何も飾らない、媚も売らない、いつもありのままの等身大のチズコだったのだとそのとき誰もが気付いたのだ。

その日から、私たちはどんなにチズコに罵られても笑って聞けるようになった。『バカじゃないの?』『あんた授業来なくていいよ』相変わらずのチズコ節は続いていたのだけれど、誰もがその言葉に愛を感じるようになっていたのだ。そしてその頃、チズコの授業を休む者はもう誰もいなかった。

半年後の卒業式の日。一緒に写真をとりたいと行列ができていたのは、たくさんいる先生の中でチズコだけだった。

「こわい先生」(2009/3/31放送)